kiritterのブログ

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ラジオの「中の人」がやるツイッター - 書籍紹介 - ツイッターってラジオだ!

先日読んだ『ソーシャルメディアの夜明け』(平野 友康、メディアライフ、2011)の中に、深夜ラジオでは、ラジオの前の<みんな>って言っちゃダメだぞ、とディレクターさんから教えられたというエピソードが載っていて、へえーなるほど!って思ったことがきっかけで、この本に辿り着いた、のだと思う、確か。。ともかく本書にはその話が出てくる。

 

『ツイッターってラジオだ! - ナンバーワンツイッター番組のパーソナリティがつぶやくあなたの味方を増やす59の方法』 (吉田尚記、講談社、2010)

 

著者は、ラジオ局 ニッポン放送のアナウンサー。

「ツイッターは文字のラジオだ」と気づいてしまった

ことで、

ラジオの現場には、この世界の人間しか知らない”ラジオで不特定多数の人とコミュニケーションを取る技術”がある。この技術が、誰にでも開かれているツイッターという場所が生まれたおかげで、ツイッターをやっているすべての人にとって意味のあるものになったんだ・・・! ラジオパーソナリティだけが身につける必要があった技術が、ツイッターをやっているすべての人に広く活かしてもらえるわけです。私がこの本を書かせてもらおうと思った動機は、そこにあります。

とのこと。

1章は、著者が上記のように気づき、ツイッターにハマっていった経緯。
2章は、メインの、そのコミュニケーション技術について。
(※ラジオでのそれそのものの紹介、ではなく、著者の考えるツイッターでの活かし方)
本書後半の3章以降は、著者のツイッターやラジオに対する分析。

 

個人的に本書を読んで最も良かったことは、
ラジオの人が見ると、ツイッターってこう見えるものなのか、ということを知ったこと。
ツイッターをビジネスに活用する的な内容じゃなくて、もっと身近な使い方の話。

意識して取り込まない限り、どうしても似たような情報とばかり接してしまって、気づけば、自分ではそう思っていないのに、さらに言えば、オレは結構柔軟だと思っているのに、それでも実際は結構モノの見方が固定されてしまっている。この本は、意外に(失礼!)、その壁に穴を開けてくれて、その向こうを覗いた感じがして、僕にはとても新鮮でおもしろく読めた。前半も後半も。最初はスルーしそうだったけど、読んで良かった。

Amazonの「これも買ってます」には限界がある、少なくとも今のところ。ある話題の水平展開には役立つけど、ちょっと飛躍のあるようなモノに新しく出会うのはなかなか難しい。なので、読んだ本の中やツイッター、ブログ等で、枝が伸びるような外部情報があったら、なるべくググるようにしている。

 

話が逸れた。

一時期、いや今でも? ツイッター上でハッシュタグを用いた「大喜利」が流行っていたけど、そして、私はほとんど関心を寄せなかったのだけど・・・

「ツイッター=ラジオ」であるなら、ラジオの定番企画は、絶対にツイッターでハマるに違いない!

ラジオでお題を言うと、リスナーからのメールが一斉に受信ボックスに出現する、あの醍醐味が、自分たちだけでなく、ユーザー全員で体験できるぞ、と。
そんな熱い思いがあったとは!
いろんな人がそれぞれの情熱と志向のもと、試行錯誤でツイッターの使い方を開発しているのだなあと改めて教わった次第。

 

あと、著者のハウツーのひとつとして、「面白いたとえ話を作る」ということが挙げられていて、本書でもしばしば使われるのだけど、ツイッターそのものに対して、

簡単なおもちゃのような顔をしているわりに、
実は予想以上のとんでもない未来を見せてくれるものじゃないか。

なるほど! 多くの人にはツイッターってそういう顔に見えているに違いない!って思って感心してしまった。。(私自身はコンピューターのシステムというのを作る側に立っているので、トータルで見て、ツイッターを作って運用するのは易しい話じゃないぞ、と思ってしまうけど)

 

本書の後半の分析的な話も、

「ラジオなんて儲からないのに、なんでやってるの?」という質問にうまく答えられない私がいました。

という著者が、

「あ、ラジオの将来、明るいじゃん!」どころか、
「これからはラジオの時代じゃん!」とすら思っています。

という風に認識の変わったことが話のベースにあって、著者ならではの話になっている。

 

最後に

ツイッターで日々つぶやきを眺めていると、その人の「根っこ」のようなものがなんとなく見えてきます。そして思うのが、「人は誰しも、たったひとつの伝えたいことを、様々な言葉で言い続けているんだなあ」ということ。

さすがは、ラジオのパーソナリティ。
人間を見ているなあ。。

 

というわけで、さっくり読めながら味わい深い、単なるハウツー本でもなく、高所から眺めるツイッター論でもなく、著者の個人的な興奮や熱い思いがぎっしり詰まってる良書だと思う次第。

あ、大事なこと書き忘れてた。。
冒頭の「動機」の話にあるように、普通に一個人として、ツイッターにはこういう姿勢で向き合うといいよ!というまとまったアドバイスをもらえて良かったなと。