先日の哲学入門と状況が少し似ているけど、
関心はあるのだけど、どこから入って良いやらよく分からない、
そんな世界へ道筋をつけてくれる本というのはとても有難い。
そういう本って、
その世界に通じた人じゃないとなかなか書けないものだし、
分かっている人により詳しく解説するのではなく、
よく分からないと思っている人を導くのだから、
その辺りの機微にも通じていないといけないし。
そんなわけで、とてもおもしろく読めたのがこの本。
『現代アート、超入門!』 (藤田令伊、集英社、2009)
- 作者: 藤田令伊
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/03/17
- メディア: 新書
- 購入: 8人 クリック: 182回
- この商品を含むブログ (34件) を見る
現代アートの源をどこに置くかについては、必ずしも統一見解はないが、
このフォーヴィスムあたりを一つの源とする意見が比較的多い。
1章につき1つの作品紹介という形で、
作者の考えや作品の位置づけ、その時代の背景等を、
現代に向かって時代を下りながら、現代アートの大枠の流れが解説される。
解説している現代アートの流れはきわめて大ざっぱなもので、
かつ、私の独断的視点によるので必ずしもバランスがよいとはいえないかもしれない。
と前置きされているが、
「わかったつもり」にはぜひなっていただきたいと願っている。
とのことで、確かにそんなつもりになれた気がする。
個人的に、一番おもしろかったのが、デュシャンの『泉』の章。
なるほど、そういうことだったのか。
目の前の物理的なモノの外観をいくらつぶさに観察したところで何も見えてはこない。
というわけで、具体的な内容紹介は省略するけど、
アートというものに向き合うスベを何も持っていなかった私には、
シンプルで骨太のガイドになってくれた気がする有意義な本だった。
(この本のテンションで、もう少し深く広くだったらもっと良かった!)
というわけで、自分の視野を広げる類の読書。