今回の本は単純に個人の趣味。
CDを手放したことに伴い、季節外れの大掃除中なのだが、
埃の積もった開かずのダンボール箱を開いたところ、随分と古い本が出てきた。
上京するときに持ってきてそのままになっていたようだ。
そのうちの1冊。
『江戸アルキ帖』 (杉浦日向子、新潮社、1989)
- 作者: 杉浦日向子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1989/04/28
- メディア: 文庫
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恐らくこの本を買った当時は、読んでも何にも心に残らなかったはず。。(^_^;)
実際、読書感想の記憶が無い!
何しろ東京の地を何も知らなかった。
でも、都内のあちこちを歩き回った後の今ならよーく分かる!
ちょっと眺めるつもりがどっぷり浸ってしまった。
さて、この本の設定がちょっとユニークで、
運転免許感覚でタイムトラベル免許があって、
長らくペーパートラベラーだった杉浦さんが毎週日曜に江戸にタイムスリップして
各所を散策することにしたという設定。
その1回分の日記が、見開き(左にイラスト、右に文章)で載せられていく、
というスタイルになっている。
- 湯島の高台から見る江戸の夜景
- 品川での潮干狩りと帆の張った船の遠景
- 丈高い葦の茂る漁師町の羽田
- 上野「山」の中の寛永寺
- 雪景色の御茶ノ水の渓谷
- 隅田川を北上して千住で西に蛇行して豊島橋まで来るとそこはもう鄙びた辺境の地
等々
設定上、日本橋から日帰り圏内という範囲らしく、
登場場所が限られているのがとても残念で、
江戸と言わずその周辺にもどんどん遠出してもらって、
もっともっとつづきが読みたい!と心底思った。
それはもう叶わない願いだが。
(杉浦さんは2005年にガンにより46歳の若さで亡くなられている)
とりあえず、東京に住んでいる人は、読んだらきっとおもしろいんじゃないかと思う。
いつもの東京が、ちょっと違う感じに見えてくるのではと。
余談
読後に驚いたのが、とてもゆったりした気分になっていたこと。
あれもやってこれもやって、のような状態から、ちょっとどっしり構えるような感じに。
杉浦さんの軽妙な文章と風情のあるイラストを追っているうちに、
気づけば没頭、自分も一緒にゆったり散策した気持ちになった。