kiritterのブログ

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モノを見るときの「枠組み」を見る - 書籍紹介 - プチ哲学

文庫だから500円くらいかなと思って書店で手に取ったら、680円だった。

高いっ!

しかも、半分は絵で、文章はちょっとしかない。で、680円。

高いっ!

でも、買った。。

 

『プチ哲学』(中公文庫)(佐藤雅彦中央公論新社、2004)

プチ哲学 (中公文庫)

プチ哲学 (中公文庫)

ちょっとだけ深く考えてみる - それが、プチ哲学

著者は、「バザールでござーる」「だんご3兄弟」「ピタゴラスイッチ」等で名の知られる方で、
本書は、雑誌「OLIVE」に連載されていたものをまとめたものとのこと。

簡単に目を通すだけでも楽しめるし、(著者はもちろんこちらを望んでいるかもしれないけど)スルメのようにたくさん噛んで味わうことも出来そうな、そんな一冊。

 

とりあえず個人的に、絵があって文章がある、このスタイルって好きだ。
絵じゃなくて写真でもいいのだけど、ビジュアル要素と文章の組み合わせというのがどうも好きらしい。
ビジュアル要素は情報量が多い。
それに対して、文章でちょっとした切り口を見せる、そういうのがとてもおもしろいと感じてしまう。
そんな気持ちで680円出してしまった。
とりあえず、自分は絵を描くのが下手なので、その代わりに書籍を挙げているのだと、680円出してそういう自覚に至った。(^_^;)

 

 # 絵が下手というか、手で描く練習をしてこなかったなあ・・・。
 # 絵は大事だ。
 # 考えが整理される。
 # 絵でうまいこと表現できないということは、考えがうまくまとまっていないのだ、
 # そんな風にも言える。
 # とりあえず、シゴトでも絵は重要。

 

個人的に一番味わい深かったのは次の話。

「価値のはかり方」について

 

ひとつの事柄には、いろんな価値が存在します。

例えば、1kgの金塊は、お金に換えると莫大な額の数字になりますが、
つけもの石として使うとしたら、1kgの価値しかありません。

あるものの価値を測るのに、いろんなものさしがあるということを知るのはとても大事なことです。

そして、そのときもっと大事なことは、どのものさしをあなたが選ぶかということなのです。

 

絵も良かった。

そして、文章では最後の一文。

 

今日までいくつかブログ記事を書いてきて、結局のところ個人の選択、みたいなことを最後に書いてしまうことがあったが、蛇足だと思いつつも付け足したくなる一言だったけど、最終的には自分宛ての言葉なのだろう。。どれだけ自分に言い聞かせれば気が済むのか。。まあそういう時期もある。

 

 

もうひとつだけ引用。

「枠組み」ということ

 

見る枠組みを変えると、同じ行為でも逆の意味さえもってしまいます。

私たちがものを見ている時には、必ずある枠組みからものを見ているということを知っていなくてはいけません。

こういうテーマを聞くと、真っ先に、自分の若い頃の経験を思い出す。
視野狭く、プログラムを書くという立場でしか、物事を見れなかったあの頃の自分を・・・。
立場が変われば、見える世界が変わる。
扱う物事が変わって、対処しなきゃいけない問題も変わり、創る価値も変わる。
少なくとも、まずはそういう「枠組み」というものを想像さえできれば、不毛な言い争いは避けられると思うのだが、人それぞれで、なかなか理想的にはいかない。

 

以下の本に、類似するテーマの話があって、
当時、とても共感して周囲に紹介したことを思い出した。
ここで改めて引用してみる。

 

『Joel on Software』(Joel Spolsky(著), 青木靖(翻訳)、オーム社、2005)

Joel on Software

Joel on Software

 

私が最初にフルタイムの仕事をしたのは、パン工場だった。

大きな部屋が2つあり、一方の部屋でパンが焼かれ、もう一方の部屋で箱詰めされていた。

最初の部屋では、みんな一日中パン生地問題に取り組んでいた。
パン生地は機械の中にこびり付き、手に付き、髪に付き、靴に付く。
そしてみんな、こびり付いたパン生地を取るための小さなペンキ剥がしを持ち歩いていた。

2番目の部屋では、みんな一日中パン屑問題に取り組んでいた。
パン屑は機械の中に付き、髪に付く。
そしてみんな、小さなブラシを持ち歩いていた。

私はどんな仕事にもそれぞれ悩みの種 - その仕事に固有の果てしない苛立たしさの源 - があるものだと思い、
そして自分の働いているのがカミソリ刃工場でないことをありがたく思った。

そんな風に始まる記事のテーマは、

ソフトウェア開発では、目的や性質の異なる様々な世界があるのに、そういったことを無視して、どちらが正しいだとか優れているだとか不毛な論争を繰り広げているように見える、といったもの。

そして最後に、

それぞれの世界には、それぞれの悩みの種がある。

(中略)

互いのパン生地問題やパン屑問題を理解して敬意を払い、
ニュースグループをもっと文明化された場所にしよう!

 

「お互いの問題を理解して敬意を払う」

長期的な生産性の向上にはこれが一番効果あるんじゃないかと思ったりする。

ネガティブ発言満載の場所には、どんな手法やツールを取り入れても大して効果は上がらないように思う。

そういう意味でも、結局のところ、人だ。