kiritterのブログ

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むずかしいことに取り組もう - 書籍紹介 - 減速思考 【2/3】

つづきです。

前回【1/3】はこちら

 

『減速思考 - デジタル時代を賢く生き抜く知恵』
(原著タイトルは、Future Minds)
(リチャード・ワトソン(著)、北川知子(翻訳)、徳間書店、2011)

減速思考 デジタル時代を賢く生き抜く知恵

減速思考 デジタル時代を賢く生き抜く知恵

 

■第2部 考えることの大切さ

思考とはどういう性質を持つものなのか。
人間の脳は、深い思考や新しいアイデアを生み出すときにどのように働くものなのか。
外的環境がどのように影響を及ぼすのか。
そのようなことが述べられている。

 

この部が本書のメインだと思った。
内容的には、きっと多くの人にとっても、別の場所で過去に見たことのあるものに違いない。
それでもゆっくりじっくり読む。
これは儀式だ。お経のように読めばいい。
そんな気持ちでページをめくった。

 

いろいろありすぎるので、とりあえず、2点だけ強引にピックアップ。

 

ひとつめは、読んでいるときに思い出したことを書きたいがためのもの。。(^_^;)

理屈で考えれば、時間を節約できるテクノロジーを思いのままに活用できるのだから、

思索を深めるためにもっと時間を注ぎ込めるはずだ。

しかし、現実は逆のようだ。

子どもの頃に聞いた笑い話(?)で、当時何となく危うさを感じて心に刻まれた話がある。
それは東京から大阪への出張の話。

大阪までは遠い。だから出張するときは1泊2日になる。
新幹線ができたから、よし、これからはゆっくりできるぞ!
と思ったら、日帰りになった、という話。

 

参考 : (東京-大阪)はどんどん狭くなる - 日本部品供給装置工業会

 1960年(S35) 東京-大阪間  6時間30分
 1964年(S39) 東京オリンピック開催に合わせて東海道新幹線開業
          東京-新大阪間 4時間00分(ひかり)
 1965年(S40) 当初計画の 3時間10分(ひかり)
 1992年(H4)  東京-新大阪間 2時間30分(のぞみ)

 

新幹線がどうこうという話ではない。
新幹線自体はとても素晴らしい発明だ。
大阪への日帰り出張が可能だなんて、なんと便利なことだろう!
ここで言いたいのはそういう話ではなくて、
この話にスピードや効率が人間社会にもたらす本質が表れているのでは、ということ。
つまり、効率化によって空いた時間は決して自由に使える時間にはならず、
その分だけ、他のモノが詰まってくる、ということ。
便利になったらその分やることが増える。

 

子どもの頃はとりあえずのところブラックジョークとして笑っていれば済んだが、
気づけばそういう世界の真っ只中に立っている。
ディスプレイ中毒になっている場合じゃない。
考えないと、奪われる一方だ。

 

同様の話として、やはり子どもの頃に目にした、21世紀の話が記憶に残る。
21世紀には、ロボットが人間の代わりにいろいろなことをやってくれます。
そのため、人間は苦しい労働から解放されて、余暇を楽しみ、心豊かな生活を送っています。
そういう論調の話。
子どもの頃はそのまま信じてしまっていたが、
今では誰もが知っているとおり、現実はそうはならなかった。
確かに機械がいろいろやってくれるようになったけど、その分、人間が職を失ったという・・・。
お金がどこから個人のふところに入ってくるか、その視点がすっぽり抜けているせいだが、
ともかく、人類が保有している資産を見れば、そういうことはすでに実現可能にも関わらず、それがなかなか実現しにくい。
そんなことを考えるとちょっと絶望の気持ちがアタマを覗かせてくるけど、そういうのにはハンマーを打ち下ろさなくては。。

 

 

もうひとつの話は、個人的には超重要な話だと思っている事柄。
この「良薬は口に苦し」的な言葉に向き合うか否かで人生変わってくると思う。

忙しいと、自分自身に対して、むずかしい問いを投げかけなくなる。

 

毎日終電の日々で、常に睡眠不足で、それでもやることが溜まりまくっている、
そんな日々では、まさにそういう状態だった。
今はそれどころじゃないんだ。
で、何とか力ずくで終わらせたとして、つかの間の休息を得る。
今はただ休みたいんだ。気分転換したいんだ。
すると、また忙しい時期が始まる。
今はそれどころじゃないんだ。
これがループしていく。
わかっちゃいるけどやめられない。

 

忙しいと、根気が必要な思考、粘り強い思考、執念をもって考え続けること、そういうことができなくなる。
いや、目先の作業に関するそういったことはやるのだけど、
そうではなくて、自分は今後どういう人生を選択すべきなのか、自社は今後どういう方向に進んでいくべきなのか、そういう大きな問い、「重要だけど緊急ではない」「唯一の正解なんてない」問いに取り組む気力が湧かない。
仮に、話さなきゃと場を設けたとしても、表面的な話で終わったり、また次回にとか、そういう感じになってしまう。

それは、布団の中で、あと5分だけ、あと1分だけ・・・と、終わりが来るのを分かっていながら、ぐずぐずしている感じに似ている。。
まずは逃げようとしている自分の姿に気づかなくては。
ガバッと跳ね起き、その勢いのまま戸外に出て、体を動かしながら深呼吸を繰り返すと、目が覚める! (遠方通勤時期の、毎朝5時半起床のときに、この方法が役立った)

 

ともかく、ディスプレイ中毒になっている場合じゃない!

 

 

【3/3】につづく